物価指数の計算の仕組みを第2章で学んでいただきました。
総務省統計局のオーソドックスな計算方法も第3章で確認してもらいました。
ようやく厚労省の生活扶助相当CPIの計算をたどる段階です。
厚労省の計算の「正体」を暴いていくので、ご期待ください。
厚労省は、生活扶助相当CPIを計算するときの対象品目を絞りました。
生活扶助費で買う品目を対象にする考え方です。
逆に「生活扶助費では買わない品目を除外した」とも言えます。
除外した品目は、家賃、診療代、ガソリン、学校授業料などです。
生活保護制度では、家賃は住宅扶助、診療代は医療扶助、授業料は教育扶助で賄われます。
そこで、家賃や診療代、授業料などは除外しました。
また、生活保護世帯は原則として自動車の保有が認められていません。
そこで、ガソリンや自動車購入代などの自動車関連経費も除外しました。
総務省統計局が計算・公表している消費者物価指数には、いろいろ種類があります。
計算対象のすべての品目を対象にするのが総合指数です。
一部の品目を除く物価指数は「〇〇を除く総合」と表現します。
「生鮮食品を除く総合」が一番ポピュラーです。
この一部品目除外タイプの物価指数を説明する表を、統計局CPIサイトから転載しておきます。
表の下の方に「カバリッジ」という言葉があります。この数字は参考になります。
CPI統計の全品目を対象にした総合指数では、各品目のウエイト合計は1万とされます。
各品目の支出額割合は「1万分のいくつ」の形で1万分比で示されます。
表には「生鮮食品を除く総合」のカバリッジが「9586」とあります。
除外した生鮮食品の支出額割合が「1万分の414」で、
除外されなかった品目の合計の支出額割合が「1万分の9586」という意味です。
生活扶助相当CPIの場合は、生活扶助費で買う品目の合計の支出額割合が、
2008年の計算では「1万分の6189」、2011年の計算では「1万分の6393」となっています。
このように、生活扶助相当CPIも一部品目を除外した消費者物価指数です。
それなら、統計局の方式に習って計算しそうなものですが、厚労省は思い切り独自性を発揮しました。
厚労省が生活扶助相当CPIの計算で使った各品目の価格指数やウエイトのデータは、
すべて統計局のCPIのサイトに掲載されているものです。
価格指数などのデータは、コピーして自分のパソコン上に貼り付けられます。
そのため、だれもが自分のパソコンのエクセル画面で、物価指数の計算作業ができるのです。
厚労省がコピペしたのは、まず、各項目の2010年基準のウエイト(支出額割合)。
2010年の家計調査にもとづいて総務省統計局が設定した数値です。
上の画像の計算表では、6段目に横に並んでいます。
例えば、6段目のJ列にはパンの「79」というウエイトがあります。
これらのウエイトは、一般世帯が対象の家計調査がもとなので、「一般世帯平均のウエイト」です。
「生活保護世帯の平均」ではありません。この点は大きな問題なので、後で詳しく説明します。
厚労省がコピペしたもう一つが、各項目の価格指数です。
上の画像の11段目は、2010年の価格指数です。すべての項目が100。
この画像にある価格指数は、すべてが2010年を100とした価格指数なのです。
今回もJ列のパンを例として見てみましょう。
9段目は2008年の価格指数で103.8、12段目は2011年の価格指数で100.2です。
厚労省の官僚らは、各項目の2010年基準のウエイトと、
2008年の価格指数(2010年=100)、2011年の価格指数(2010年=100)を自分たちのパソコンにコピペ。
必要な項目だけを対象にして、2008年や2011年の生活扶助相当CPIを計算しました。
厚労省の生活扶助相当CPIの計算作業に関するチェックポイントは、いろいろあります。
厚労省は、統計局CPIサイトに掲載されている各品目の価格指数やウエイトのデータを使いました。
その統計局は、CPIの対象品目を5年ごとに入れ替えています。
これが、生活扶助相当CPIの計算にも影響しました。この点を見逃してはなりません。
生活扶助費で買う個別品目のうち、統計局の2005年基準品目と2010年基準品目で共通するのは485です。
2005年基準では対象外だったが、2010年基準で追加された品目は32あります。
一方、2005年基準では対象だったが、2010年基準では対象外になった品目は24です。
厚労省は、2011年の生活扶助相当CPIを計算する際は、追加の32品目も対象にしました。
一方、2008年の生活扶助相当CPIの計算では24品目を対象外にしました。
その24品目については、2005年基準のウエイトは設定されていました。
しかし、2010年基準のウエイトは設定されていません。
2010年基準では、CPI統計の対象品目から外されたためです。
2010年を比較時点にした比較時加重相対法算式だと、2010年基準のウエイトが必要です。
24品目については、その2010年基準のウエイトのデータがないので、計算対象外にするしかなかったのです。
こうした事情で、厚労省が計算の対象品目にしたのは、2008年が485、2011年が517になりました。
下の説明図を見てください。
消費者物価指数統計は、5年ごとの基準改定で買い物かごの中身が変わります。
厚労省の生活扶助相当CPIの計算も、2010年の前と後で買い物かごの中身が違います。
2008年から2011年までの一連の計算ではありません。
2008年〜2010年の計算と2010年〜2011年の計算は別物なのです。ここは重要なポイントです。
この説明図では「項目」という言葉も使っています。
CPI統計で価格指数が記録されているのは、個別品目だけではありません。
いくつかの品目からなる品目グループの価格指数も記録されています。
例えば、2010年基準のCPI統計では、「パン」は品目グループの名称であり、
「食パン」「あんパン」「カレーパン」が個別品目の名称です。
厚労省は生活扶助相当CPIを計算するとき、
個別品目の価格指数を使ったり、品目グループの価格指数を使ったりしています。
そのため、ここでは個別品目と品目グループを総称して「項目」としています。
厚労省は生活扶助相当CPIの計算をする際、
2008年〜2010年については、485の個別品目を268項目にまとめました。
一方、2010年〜2011年については、517の個別品目を300項目にくくり直しました。
すべての項目を個別品目にした場合と、個別品目と品目グループを混ぜた場合とで計算値は違うのか。
両方のケースの計算値はほとんど同じなので、この点は問題ではないでしょう。
厚労省の生活扶助相当CPIの計算プロセスを具体的に見ていきましょう。
2010年〜2011年については、下の概略計算表の通りです。
各項目について「2010年基準のウエイト×2010年を100とした2011年の価格指数」を計算。
この積の合計を2010年基準ウエイトの合計で割っています。
計算表のB列の数字にC列の数字を掛けてD列に積の数字を並べ、
D列の合計の635973.1をB列の合計の6393で割る手順です。
割り算の答えが、2010年を100とした2011年の生活扶助相当CPIの99.48です。
この計算手順は、ごく普通の基準時加重相対法算式(ラスパイレス型)です。
そのことを確認するために用意した下の計算表も見てください。
この計算表ではC列の数字に注目してください。
直前の計算表のC列に比べると、100分の1の数字になっています。
直前の計算表のC列は、2010年を100とした2011年の価格指数でした。
その価格指数は「2011年の価格÷2010年の価格×100」の式で求められます。
その式の「×100」の部分を取って計算したのが、今回のC列の数字です。
今回の計算表で2011年の生活扶助相当CPIを求める手順は、次の通りです。
各項目について「B列×C列=D列」を計算した後で「D列の合計÷B列の合計×100」。
計算式で表すと次の通りになります。
2010年を基準時点、2011年を比較時点にした基準時加重相対法算式(ラスパイレス型)です。
ここで説明した2つの計算表と計算式をじっくり眺めて考えていただければ幸いです。
続いて、厚労省の2008年〜2010年の計算を見てみましょう。下の概略計算表を見てください。
各項目について「2010年基準のウエイト×2010年を100とした2008年の価格指数」を計算。
この積の合計を2010年基準ウエイトの合計で割っています。
計算表のB列の数字にC列の数字を掛けてD列に積の数字を並べ、
D列の合計の646627.9をB列の合計の6189で割る手順です。
割り算の答えが、2010年を100とした2008年の生活扶助相当CPIの104.48です。
この計算手順は、比較時加重相対法算式(パーシェ型)の変形です。
そのことを確認するために用意した下の計算表も見てください。
今回の計算表についてもC列の数字に注目してください。
直前の計算表のC列に比べると、100分の1の数字になっています。
直前の計算表のC列は、2010年を100とした2008年の価格指数でした。
その価格指数は「2008年の価格÷2010年の価格×100」の式で求められます。
その式の「×100」の部分を取って計算したのが、今回のC列の数字です。
今回の計算表で2008年の生活扶助相当CPIを求める手順は、次の通りです。
各項目について「B列×C列=D列」を計算した後で、「D列の合計÷B列の合計×100」。
計算式で表すと次の通りになります。
基準時点の買い物かご合計代金を比較時点の買い物かご合計代金で割って100を掛けています。
「6466.279÷6189×100=104.48」です。基準時点が104.48で比較時点が100です。
厚労省の計算は「646627.9÷6189=104.48」でした。
厚労省の計算では、100を掛ける手順が先にあるのです。
100を掛けるタイミングが違うだけで、内容はまったく同じ計算です。
ただ、厚労省は「646627.9」を「6466.279×100」とはじき出したわけではありません。
2008年が基準時点、2010年が比較時点の比較時加重相対法算式(パーシェ型)では、
2008年の各項目の代金は「2010年の代金×2008年の価格/2010年の価格」と計算します。
ここでは、2010年の各項目の代金は2010年基準ウエイトにします。
厚労省が100を掛けた形なのは、この中の「2008年の価格/2010年の価格」の部分。
「2008年の価格は2010年の価格の何倍だったか」の倍率(価格比)です。
この倍率を100倍すると、2010年を100とした2008年の価格指数になります。
厚労省は各項目の「2010年基準ウエイト×2010年を100とした2008年の価格指数」を計算しました。
その価格指数を導き出す手順の中に「100×」が入っているのです。
同じ計算であることを計算式で実証しましょう。
A品目の2010年基準のウエイトを大文字のAとし、
A品目の2008年の価格が2010年の価格の何倍だったかの倍率を小文字のaとします。
B品目の2010年基準ウエイトは大文字のB、価格の倍率はbとします。
C品目についても同様の表記をします。
次の等式を見てください。左辺は「×100」を後でする手順。右辺は「100×」を前でしています。
この両辺が等しいのはすぐに分かるはずです。
モデル的に3品目にしていますが、項目が268あっても同様に両辺は等しいです。
もう一つ、はっきりさせておくべきポイントがあります。
今説明している計算手順や厚労省の計算手順だと、比較時点が100で基準時点が104.48という答えが出ます。
パーシェ方式の変形である比較時加重相対法算式(パーシェ型)では基準時点の物価指数が100です。
この違いをどう考えたらいいのでしょうか。
2008年〜2010年の生活扶助相当CPIを比較時加重相対法算式で計算する式は次の通りです。
比較時点の買い物かご合計代金を基準時点の買い物かご合計代金で割って100を掛ける計算です。
「6189÷6466.279×100=95.71」。基準時点が100で比較時点が95.71です。
これまで説明してきた手順の計算式は、次の通りでした。
2つの計算式を比べると、分母と分子が入れ替わっています。
これまで説明してきた手順では「6466.279÷6189×100=104.48」でした。
しかし、比較時加重相対法算式(パーシェ型)では「6189÷646627.9×100=95.71」です。
結論から言えば、分母と分子が入れ替わっていても、この2つの計算の中身は同じです。
分かりにくいところなので、じっくり説明しましょう。
下の図は、2008年〜2010年の生活扶助相当CPIを計算する買い物かごのイメージです。
比較時加重相対法算式(パーシェ型)の計算です。
各項目の2010年の代金は、各項目の2010年基準ウエイト。
各項目の2008年の代金は「2010年基準ウエイト×2010年価格/2008年価格」と計算します。
買い物かごの合計代金は、2008年が6466.279円で2010年が6189円です。
比較時加重相対法算式(パーシェ型)では、物価指数は基準時点を100とします。
この場合だと、基準時点は2008年なので2008年の生活扶助相当CPIが100となります。
2010年の生活扶助相当CPIは「2010年の合計代金÷2008年の合計代金×100」と出します。
「6189円÷6466.279円×100=95.71」となります。
生活扶助相当CPIは、2008年が100、2010年が95.71です。
厚労省の計算では、2008年が104.48、2010年が100です。間違いなのでしょうか。
計算結果の示し方という点では、厚労省もまったく問題ないと言えます。
104.48という数字は「2008年の合計代金÷2010年の合計代金×100」という計算で出せます。
「6466.279円÷6189円×100=104.48」です。
生活扶助相当CPIは、パーシェ方式(比較時加重相対法算式)では「100→95.71」。
厚労省が示す計算結果は「104.48→100」。この両方が正しいのです。
物価指数は比の形で示すものです。
「100:95.71=104.48:100」なので、両方正しいと言えるのです。
一連の計算で本質的なのは「買い物かご合計代金が0.9571倍になった」という部分です。
これが比の形で表されている限りは正解になります。
「1:0.9571」も「1.0448:1」も「100:95.71」も「104.48:100」も正解なのです。
2008年〜2010年の生活扶助相当CPI変化率を総務省統計局の方式で計算してみましょう。
CPI統計のウエイトや価格指数のデータを使うのであれば、普通の感覚ならこの方式を使います。
基準時点は2005年。各項目の2005年基準ウエイトと2005年を100とした価格指数で計算します。
厚労省が2008年生活扶助相当CPIの計算で対象にした268項目で計算してみました。
2008年の買い物かご合計代金と2010年の買い物かご合計代金を比べることになります。
下の概略計算表で、計算手順を見てください。
2008年は、各項目の「2005年基準ウエイト×2005年を100とした2008年の価格指数」をまず計算。
その積の合計を2005年基準ウエイトの合計で割る手順です。
B列にC列を掛けた積がE列に並ぶので、そのE列の合計をB列の合計で割ります。
「649046.9÷6379」で101.75という数字が出てきます。
これが2005年を100とした2008年の生活扶助相当CPIです。
2010年も同様。各項目の「2005年基準ウエイト×2005年を100とした2010年の価格指数」を計算。
その積の合計を2005年基準ウエイトの合計で割る手順です。
B列にD列を掛けた積がF列に並ぶので、そのF列の合計をB列の合計で割ります。
「637544.6÷6379」で99.94という数字が出てきます。
これが2005年を100とした2010年の生活扶助相当CPIです。
2005年を100とした生活扶助相当CPIは、2005年100、2008年101.75、2010年99.94です。
2010年を100とした2008年の生活扶助相当CPIは、さらに簡単に計算できます。
2008年の買い物かご合計代金を2010年の買い物かご合計代金で割って100を掛けるだけです。
「649046.9÷637544.6×100」で101.80という数字が出ます。
厚労省の生活扶助相当CPIの計算は、2010年〜2011年は統計局方式でされました。
2011年の生活扶助相当CPIは99.48。四捨五入すれば、99.5です。
統計局方式の計算では、2010年を100とした2008年の計算値は101.8です。
生活扶助相当CPIは統計局方式では「2008年101.8→2010年100、2011年99.5」という推移。
2008年〜2011年の3年間の下落率は2.26%です。
CPI統計の対象の全品目で計算する総合指数は「2008年102.1→2010年100→2011年99.7」。
3年間の下落率は2.35%です。生活扶助相当CPIも統計局方式なら、下落率は似た水準になるのです。
「厚労省方式での2008年の生活扶助相当CPIの計算値が怪しい」と誰しも思うはずです。
厚労省の計算は、2008年〜2010年の部分が異例の方式になっています。
ここが物価偽装の核心です。ところが、この偽装作業は簡単に実行できるのです。
2008年の生活扶助相当CPIを統計局方式で計算するときは、
各項目について「2005年基準ウエイト×2005年を100とした2008年の価格指数」と計算を始めます。
厚労省の方式で計算するときは、この部分を次のように変えるだけです。
「2010年基準ウエイト×2010年を100とした2010年の価格指数」。
エクセルの計算表の2005年基準ウエイトの列の数字をごっそり2010年基準ウエイトの数字に変える。
2008年の価格指数の列の数字は、2005年を100とした数字から2010年を100とした数字に変える。
ウエイトや価格指数はもともとは、統計局のCPIのサイトからコピペした数字です。
物価偽装の作業というのは、コピペする対象の数字の列を別の数字の列に変えるだけのことなのです。
筆者は、物価偽装を実行した人に「どういう考えで作業したのか」と問いかけたい。
自分以外でも「実行した人が率直に真実を語ればいい」と思う人は多いはずですが…。
厚労省の2008年〜2010年の計算は、異例の計算方式だと説明してきました。
そして、その方式の計算に切り替えることが簡単であることも説明しました。
さらに興味深いポイントを指摘しておきます。
厚労省の2008年〜2010年と2010年〜2011年の計算方式が外見上はそっくりであることです。
外見上そっくりなので、2008年〜2010年の計算方式が異例だと気づきにくくなっています。
厚労省の方式だと、2011年の生活扶助相当CPIは、下の式で計算します。
そして、2008年の生活扶助相当CPIは、そのさらに下の式で計算します。
2つの式を見比べてみましょう。
2011年、2008年の計算の両方とも、分母は「各項目の2010年基準ウエイトの合計」です。
分子も両年とも「各項目の2010年基準ウエイト×2010年を100とした価格指数」です。
違うのは何年の価格指数であるかです。
2011年の計算では、2010年を100とした2011年の価格指数を使って計算します。
一方、2008年の計算では、2010年を100とした2008年の価格指数を使います。
また、両年の計算とも「2010年を100とした価格指数の加重平均」であることも共通です。
加重平均の重みは、両年の計算とも各項目のウエイトです。
「2008年の生活扶助相当CPIは各項目の2008年の価格指数の加重平均であり、
2011年の生活扶助相当CPIは各項目の2011年の価格指数の加重平均」という説明もできます。
このように説明されると、2008年の計算方式が異例であることに気がつきにくいのです。
なぜ計算方法の外見がそっくりなのか。ウエイト参照時点を軸に考えてみたら、謎が解けました。
ウエイト参照時点を100とする物価指数を算出する計算の仕方を考えていきます。
物価指数は、各項目の数量をウエイト参照時点の数量に固定して計算します。
ここでは、ウエイト参照時点とX(エックス)時点の2時点があると仮定します。
両時点に関する計算式を6ついっぺんに示しました。計算式を見ながら説明文を読んでください。
まず、ある項目の「X時点の代金がウエイト参照時点の代金の何倍か」の計算式が@式です。
両時点の数量は同じなので、分母と分母の両方にある数量は取り外せます。
数量を外すとA式になります。A式から、代金の変化が価格の変化に連動することが分かります。
A式の両辺に「ウエイト参照時点の代金」を掛けてください。B式になります。
これが大事な式。数量を使わない物価指数計算は、この式があるので成立します。
ウエイト参照時点の支出額割合をもとにウエイト参照時点の代金が設定できます。
そのウエイト参照時点の代金からX時点の代金が出せるわけです。
ウエイト参照時点の代金に「X時点の価格はウエイト参照時点の価格の何倍か」の倍率を掛ければOK。
それを示しているのがB式です。ここで、大事な点を指摘しておきます。
このB式は、X時点がウエイト参照時点より前の時点であっても後の時点であっても成り立つのです。
各項目のX時点の代金がつかめれば、X時点の買い物かご合計代金が出せます。、
ウエイト参照時点を100とするX時点の物価指数は、
X時点の買い物かご合計代金をウエイト参照時点の買い物かご合計代金で割って100を掛ければ出せます。
その計算がC式です。C式の最後にある「×100」を分母・分子の部分の分子に織り込んだのがD式です。
D式の「X時点の価格/ウエイト参照時点の価格×100」が何だったか思い出してください。
ウエイト参照時点を100としたX時点の価格指数です。それを織り込んだのがE式です。
E式が「ウエイト参照時点を100としたX時点の物価指数を求める計算式」です。
このE式も、X時点がウエイト参照時点より前の時点であっても後の時点であっても成り立ちます。
E式のウエイト参照時点を2010年に置き替えてみましょう。2010年の代金はウエイトにしておきます。
さらに、X時点を2008年や2010年に置き換えてみましょう。しばらく前に紹介した2つの式になります。
もう一回、載せておきます。2つの計算式がそっくりになる理由を理解していただけたと思います。