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第11章(結論)統計の信頼性を失墜させる愚行

 消費者物価指数統計を担当する各国の機関は、国際マニュアルを参考にしています。
2004年発行の国際マニュアルは日本語への翻訳本があります。
書名は「消費者物価指数マニュアル 理論と実践」。
69頁に各国の担当機関に倫理性を求めている記述があったので紹介します。
その部分の見出しは「消費者物価指数の独立性と堅固な正直性の必要」。
「担当機関は、独立性を保ち、正直に徹することが必要」という意味です。

本文中には「あらゆる種類の物価スライドのためにCPIが広く使われる」と書かれてます。
今回の生活扶助相当CPIの利用目的は、まさに物価スライド。
生活扶助費を物価の下落率に連動させて減らしたのですから。
「財政的な利害関係を伴うので、政治的及び非政治的圧力グループは
CPI作成のために使える方法に影響を及ぼそうとするかもしれない」という記述もあります。
「CPIは、他の公式統計と同様にそうした圧力から守られなければならない」とも書かれています。
今回は、政府内の厚労省が自らCPIの作成方法をねじ曲げてしまったのだから酷い。
このマニュアルの精神は、厚労省には無縁なのでしょうか。
 厚労省は、独自の計算方法を使って物価下落率を膨らませました。
「生活保護予算の削減額を大きくしろ」という自民党の要求に屈したのです。
CPIを担当している総務省統計局や物価指数に精通した学者らの意見も聞かずに…。
 政府が恣意的に統計の操作をして行政運営を進めたら、いずれ国民の信頼を損ないます。
厚労省の行政行為の過ちに気がついたのに、総務省統計局が黙認した経緯も「情けない」の一言です。
政府全体として、すみやかに物価偽装を認めて善後策を検討することを願ってやみません。


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